なぜ日本の景気は良くならないのか?

世界の経済は「コロナショック」により、大きいダメージを受けています。

日本の経済はこれからどうなるのか?と不安視している人は多いのではないでしょうか?

そんな中 「目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室 」という本が面白かったので、ブログにまとめてみました!

デフレとインフレ

日本の失われた30年…

ネットニュースなどをみていると、一度はこの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

これは日本のバブルが崩壊した1990年から現在に至るまでの日本経済の低迷を表わす言葉です。

実際に、日経平均株価は、3万9000円の高値を付けたところから暴落し、現在に至るまで最高値を更新することができていません。


株価は企業の業績を反映するため、景気が良くなれば株価も上がると言われています。

ということは、「株価が低迷しているから日本の景気も悪くなっている」ことになります。

しかし「日本の生活が昔と比べて貧しくなったのか?」と聞かれると、そのような実感もわきません…

では実際のところ、日本の景気は低迷しているか、低迷していないのか、どちらなのでしょうか?

世界と比較すると、

日本の経済は世界と比べて低迷していると言わざるを得ません!

実質GDP成長率は、他国より下回った状態で推移し、物価上昇率は完全に横ばいとなっています。

さらに、1時間当たりの実質賃金は右肩下がりというひどい状況になっています。

「失われた30年」と呼ばれている意味がよく分かります。


それでは、いったいなぜ世界と比べ、日本の景気は低迷しているのでしょうか?

結論から先に言うと、それはデフレから脱却できていないからです!

好景気には、緩やかなインフレが必要不可欠とされています。

インフレとは、モノやサービスの値段が上昇することをいい、相対的にお金の価値が低下します。

そして、好景気にはモノが売れ、企業が儲かり、給料が増え、消費が活発になるといったサイクルで経済が拡大していきます。

デフレとはその逆で、みんなが消費を控え、モノが売れなくなり、経済が縮小してしまう現象です。

また、お金の価値が上昇するので、お金を使うより貯め込む人が増えます。

つまり、インフレは「消費に対する需要が増え」、デフレは「消費に対する需要が減る」ということになります。

そして、一度「デフレスパイラル」に陥ってしまうと、経済の低迷から抜けだすことは非常に困難です。

では、なぜデフレが悪いと分かっていても、日本の政府はどうすることもできないのでしょうか?

それは、現在行っている日本の政策が間違っているからなのです。

デフレを脱却するには?

デフレを脱却する方法はインフレを発生させるしかありません。

「そんなこと言われなくても分かってる!」と言われそうですが、これしかありませんw

日本は約25年もの間、デフレから抜け出せていません。

政府は2013年から、物価上昇率を2%にすることを目標に掲げ、がんばっています。

しかし、驚くほど効果が現れていません…

ということは、政府が行なっているインフレ政策は間違っていると言わざるをえません。


インフレは、市場にたくさん貨幣が供給されたり、モノの需要が供給を上回ったときに起こります。

現在の日本の政策では↓

  1. 日銀が国債を買い入れ、金利を低く設定する
  2. マネタリーベースを増加させて、 貨幣供給量を増やす

などをして、インフレを引き起こそうとしています。

マネタリーベースとは、市場に出回っている現金と、銀行預金の合計額です。


「貨幣供給量を増やしたい!」と言っても、日銀が直接、市民にお金を配るわけにはいきません。

よって、日銀の当座預金にマイナス金利を導入して、市場に資金を供給するよう圧力をかけています。

しかし、 そもそも企業に資金需要がないため、借り手すら見つからない状態になっています 

これでは、のどが渇いていない犬に「水をたくさんあげるげるからもっと飲め!」と言っているようなものです。

デフレが続く日本では、銀行を通じて資金供給量を増やすことは諦めるしかありません!

それではどうやって貨幣供給量を増加させるのでしょうか?

それは、財政赤字を拡大させることです


企業は銀行からお金を借りて、設備投資などを行います。

と言うことは「流通しているお金は全て、銀行が発行した負債である」と考えることができます。

そして、その負債を返済することによって、お金は市場から消え去ります。

この「銀行」を「政府」に置き換えて考えると、財政赤字を拡大することにより、政府の負債が増加するので、貨幣供給量が増加するということになるのです。

反対に、増税して政府の負債を減少させてしてしまうと、貨幣供給量も減少してしまうことになります。

でも、財政赤字の拡大と聞くと「子どもた達の負債が増えてしまう!」「政府が財政破綻してしまう!」といった声が聞こえてきそうです。

しかし、そんな心配はまったく必要ありません!理由を見ていきましょう。

日本政府は財政赤字を拡大させるべきだ

日本の政府は法律上、通貨を発行することはできません。

もし、政府が好きなだけ円を印刷してしまえば、ハイパーインフレになってしまいます。

しかし、政府は円を無限に印刷することができる錬金術を持っています。

どういうことでしょうか

それは、政府が国債を発行し、それを日銀に買い取らせることで、無限に資金調達が可能だからです!

でも「お金を刷りまくったらお金の価値が減少して、ハイパーインフレになるんじゃないの?」と突っ込まれそうですが、実際に日本では緩やかなインフレすら起こっていませんw

もはや、デフレ経済を金融緩和だけで脱却することは、不可能に近いのです。

「そんなことすると日本の国債価格が暴落して金利が急騰してしまう!」と思うかもしれませんが、大丈夫です。

なぜなら「金利が急騰しても日銀が国債を買いとれば済むだけの話」だからですw


また、政府は無限に円を印刷することができるため、円が尽きることもありません。

過去を見ても、自国建ての国債が債務不履行に陥ったことは1度もありません、これは歴史が証明しています。

デフォルトしている国は全て「通貨発行権」を持っていない国々です

もはや現時代では、「財政赤字に苦しむ」などと言う言葉は、単なる勘違いに過ぎないのです。

とはいっても、さすがに財政赤字にも限界はあります。

「やっぱりそんなに美味しい話はないよね!」と、思うかもしれませんが、その通りです。

その限界というのは、インフレが起きてしまった時です。

ここで問題なのは、「財政赤字の金額」ではなく「インフレ率」になりますそして、インフレが起きてから、はじめて増税を行ったり、金融引き締めを行えばいいのです!


「なるほど、インフレになってからそういう政策をしたらいいのか!」と分かったところで、日本の政策を振り返ってみると、明らかに間違えていることが分かります。

現在、日本が行っている「消費税増税」や「プライマリーバランスの黒字化」ということは、貨幣供給量を減少させる行為になります。

つまり「デフレスパイラルに陥ってしまっている、日本で行うべき政策ではない」ということです。

それなのに政府は、古い理念にとらわれて、同じ政策しか続けてきていないので、デフレから脱却できずに、景気の停滞が続いてしまっています。

好景気にならないのは、企業や国民のせいではなく、政府のせいなのです。

消費税増税&プライマリーバランスの黒字化

そもそも、税率をあげたところで実際に税収がアップするのでしょうか?

政府は「税率」をコントロールすることができるのであって、「税収」をコントロールすることはできません

増税により景気が悪くなり、税収が減れば、元も子もありません 。

結局は全て「景気」次第だということになります。

つまり、消費税は上げるのではなく、下げるべきなのです!

続いて、プライマリーバランスの黒字化について過去の事例を紹介します。

ギリシャとアルゼンチンは「増税」や「政府の歳出削減」により、プライマリーバランスの黒字化を達成しました。

しかし、数年後にデフォルトに陥ってしまいました、、、

「え?財政赤字を一生懸命に無くした結果、デフォルトしてしまったの?」と驚かれるかと思いますが、これは事実です。

ギリシャでは、年間のGDPが4分の1も減少し、失業率は26%に達するという悲惨な結果となりました。

これは不景気の中で、政府支出を削減し、増税したことにより、資金供給量を引き締めてしまった結果と考えることができます。

 最後に…

こうしてみてみると、日本がデフレから抜け出せない理由がはっきりと分かります。

それは、本来インフレ時に行うべき経済政策を、デフレ時に適用してしまっているからです。

デフレスパイラルに陥っている日本では、財政赤字をもっと拡大して、「減税」「公共事業」「教育の援助」などといった、社会保障をより促進させ、政府を通して貨幣供給量を増やしていかなければいけません。

「小さな政府」から「大きな政府」にならなければいけないのです!

消費を抑制する増税なんてしてる場合ではありませんし、経常収支の黒字化なんて目指す必要すらありません。

日銀も「躊躇なく追加緩和を行う」と言い続けているだけではインフレになりません。

日本が金融政策のみでデフレから脱却することは、もはや不可能だということに、はやく気付くべきです。

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Author: てぃけ
相場歴8年目の26歳。 主に「為替」「商品」「仮想通貨」のトレードに関する記事を書いています。金利や投機筋のポジション動向、直観を軸にした、中期的なトレードがメインです。